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サプリメントのパラドックス
日経 サイエンス 2013年 06月号 [雑誌]
他にも、抗酸化酵素の働きに関する遺伝子をメチル化したノックアウトマウスやノックアウト線虫やらがあっさり短命だとの予想を上回り平均年齢よりも健康で長生きしてしまったという結果が公表されていた。
この結果に『世界ふしぎ発見!』でやってた、イタリアのサルデーニャ島の人には活性酸素を除去する酵素が働かないのに100歳以上長生きする長寿者が多いという番組を思い出した。
というわけで、生物は長寿も短命も健康も病気も単純に物質や遺伝子でホイホイと特定できてしまうほど単純では無いということが判明したのでした。
なんかね、”適度(どこからどこまで?)”ってのがキーワードみたいなんだけど、これが難しいよね。
人間、食べなきゃ餓死するけど、食べ過ぎれば成人病になりやすくなるし、運動もし過ぎるとケガや疲労で体調が狂うけど、まぁまぁ不快でない程度の運動なら健康増進に役立つっていうのは誰でも知ってる。でも個体差がものすごく大きいから簡単に定義付けできるものじゃない。
結局、魔法みたいなサプリメントはなかったってことさね。んまぁ、サプリを摂るとそれで安心しちゃって、ちゃんと栄養取らなくなるとか運動も怠け安くなるとかいう心理的影響から生活習慣が適正範囲から外れやすくなるとかいうのがあるのかもしれないけど。
あとは推測を飛躍すると、例えば無重力状態だと筋肉が休息に衰えて重力に耐えられない有様になるわけでさ、そんな感じの影響が抗酸化サプリにあったりして。もし、サプリでこんな影響があるんなら、睡眠薬みたいな薬は飲まないと眠れなくなるのは当然か。
オプティミストっぽく考えればね、生物の進化は能力を捨てることでどんどん高等生物になってきたというやつ。誕生したらずっと動けない植物は必須アミノ酸を全部生体内で作ることができるけど、動けるようになった動物は必須アミノ酸が作れなくなったから動きまわって探して食べなきゃいけなくなった。
トレードオフというやつ。この関係はトレードオフとして成立したけど、抗酸化サプリや睡眠薬は不成立だったということかな。
ちなみに『日経サイエンス2013年6月号』はちょろっと見ただけだから、雑誌の中で抗酸化サプリとして取り上げられたのはビタミンEくらいしか目に止まらなかった。コエンザイムQ10やレスベラトロールやウコン(クルクミン)とか抗酸化作用を謳うサプリメントは膨大な量があるから他のサプリメントが生体に量と期間においてどのように影響を与えるのか詳しいことは分からなかった。
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